高齢者向け賃貸住宅の投資案件

高齢化が急速に進み、高齢者(60歳以上)世帯が大幅に増加することが見込まれている。特に高齢者単身世帯は2005年の387万世帯から初年には717万世帯と倍近くに増える見通しである。

高齢単身世帯の持ち家率は20%(65年、総務省「住宅・土地統計調査」)で、高齢者のいる世帯全体の持ち家率(10%)に比べるとかなり低い。今後は家を持たない高齢者世帯の増加に備え、高齢者でも安心して住める賃貸住宅が増える環境を整えておく必要がある。

そのために01年に設けられたのが、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)の仕組みである。高齢者(60 歳以上)の入居を拒否しない賃貸住宅を募り、その情報を登録、公開する仕組みである(高齢者住宅財団のホlムペlジで閲覧可能)。高齢者が家賃を滞納した場合の保証制度も用意されている。高円賃のうち、高齢者のみを入居対象とするものが高齢者専用賃貸住宅(高専賃)である高専賃は食事の提供や緊急時対応など、高齢者向けのサービスを行っているものも多く、高齢期の新たな住まいとして注目されている。訪問介護やデイサービスの事務所を併設し、介護保険を使って介護サービスを受けられるものもある。高専賃の供給には、介護事業者や不動産会社、医療法人など様々な業者が参入し、近年供給が急増した

高専賃のうち、床面積や設備などの要件を満たした上で、介護などのサービス(「入浴・排せっ・食事の介護」「食事の提供」「洗濯・掃除などの家事」「健康管理」のいずれかのサービス)を提供している住宅が、適合高専賃である。

適合高専賃は、国土交通省の高齢者住まい法と厚生労働省の介護保険法の両法にまたがる制度として作られたもので、高専賃に有料老人ホlム並みのサービスを加えた住宅である。

高専賃に右のようなサービスをつけると、法的には住宅型有料老人ホlム(食事や見守りなど生活支援サービスは付いているが、介護サービスは外部の訪問介護を各自利用するタイプのもの)となり、行政の監督を受けることになるが、適合高専賃となればその対象からは外れる。

介護施設ではなく住宅という位置づけのためである。業者にとって適合高専賃は、住宅型有料老人ホlムに比べて運営の自由度が高く、利用者に合わせたサービスを提供できるというメリットがある。このほか、高齢者向けの住宅には、所得に応じて家賃補助を受けられ、一定の床面積、バリアフリl化、緊急時対応などの設備の設置が義務付けられている高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃、m年創設)もある。高優賃も高円賃の一種であるが、高優賃は都道府県から事業計画に対する認定と補助を受けて供給されるという違いがある。供給主体は民間事業者のほか、地方の住宅供給公社であるが、民間事業者による供給は少なく、地方の住宅供給公社が多くの供給を手がけてきた面がある。例えば、横浜市の例をあげると、09年度末の管理戸数1059戸のうち87%が公社による建設である。

高円賃、高専賃の登録制度の変更

このように高齢者向けの様々な住宅が供給されているが、従来、高円賃については高齢者の入居を拒否しない、高専賃については高齢者のみを入居対象とするという緩い登録要件しかなかったが、供給の増加に伴い、劣悪な物件も目立つようになってきた。

また、入居者保護の面でも問題が生じるようになった。このため、10年5月から、高円賃、高専賃に新たに床面積、設備などの要件が設けられることになった(「改正高齢者住まい法」〈03年8月施行〉による)。具体的には、1戸当たりの床面積をお平方メートル以上とし(浴室や台所などが共用設備の場合は18平方メートル)、前払い家賃などを取る場合は、倒産リスクに備えて最大500万円までの保全措置を取ることが義務付けられた。

さらに、賃貸契約とは別に食事や介護などのサービスを提供する場合、サービス内容と対価を明記し、契約書を分けなければならなくなった。これらの要件のうち、床面積と設備の基準、家賃の保全義務については、従来、適合高専賃が満たさなければならなかった要件であり、今回の改正によってこの要件が高円賃、高専賃に広げられた形となる。この結果、すでに登録されていた物件もこうした要件を満たした上で再登録しなければならなくなった。制度変更前は、全国で高円賃は約四万戸、高専賃は約4万戸登録されていたが、制度変更後の登録件数は高円賃約6万戸、高専賃約4万戸となった(02年9月末現在)。高専賃はほぼ元の数に戻ったが、高円賃の方は制度変更前の3分のlほどの数に減少した。高円賃は、従来は普通の賃貸住宅でも高齢者の入居を拒まないとすれば登録できたため、今回の制度変更により、だいぶ絞り込まれたことになる。

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